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また,マイクロスコープで術野が拡大されるので,コードの確実な挿入方向が解り,圧排は確実で容易なものとなる.結果として,患者の好感を得ることができる.印象をマイクロスコープや実体顕微鏡で精査するとき,光源からの熱や材料の乾燥による収縮や変形に気をつける必要がある.顕微鏡下で印象の不鮮明を発見したときに,原因が印象の不備によるものか,形成の不備によるものかに答えてくれるのは,実体頼緻鏡ではなくマイクロスコープなのである.
C歯科医師がマイクロスコープを用いると,技工士がビジュアルガイダンスを用いて技工を行ったか否かを容易に判断できる.いちばん簡単な方法は,作業模型のマージンを顕微鏡下で精査することで.
これは実体顕微鏡でもできることである.模型のトリミングといった以後の技工操作を左右する部分に,顕微鏡を使用していなかったり,ビジュアルガイダンスを用いてないことが多いように思う.支台模型に傷が認められるものは論外である.
Dテンポラリークラウンやプロビジョナルレストレーションが装着されている場合は,仮着セメントをマイクロスコープ下で(ヒトの2点識別閾には限界があるので),支台歯を傷つけることなく,完全に除去する必要がある.残存している仮着セメントを侮ると,修正に多大な時間を浪費するばかりでなく,補綴物の浮き上がりという結果に至ってしまう.当然,マイクロスコープは余剰セメントの除去にも威力を発揮する.
E試適の前に,まず補綴物を模型からはずさずに,顕微鏡を使い適合,咬合,コンタクトの精査を行う.ついで支台歯上でコンタクト,内面,咬合を調整する.調整に咬合紙または咬合フィルムを用いる歯科医師が多いようであるが,残念ながら図11〜図16までの比較写真が示すように,実際に圧を受けて接触しているところも,紙またはフィルムが触れたり,剥離して散在しているところも,解像度が低かったり,弱拡大では同じように見えたりしてしまう.マイクロスコープ下で調整するとこのような誤差はかなり防げるものである.
図11〜図13ではあたかも咬合接触があるようにみえるが,図14では咬合フィルムが散在しているだけなのがわかる.液体タイプの咬合紙を使うとさらに有効である(図15,16).液体タイプの咬合紙の塗布にもまたマイクロスコープの使用をお薦めしたい.接触強さを確認するマイラーやシムストックなどを引き抜くときも,手指の感覚に頼るよりマイクロスコープ下でその張力をみて判断するほうが確実である(図17).
F歯科用インプラントで修復された後,長期間メインテナンスを受けないでいると,アバットメントに歯垢や歯石が付着し,周囲組織の炎症を引き起こす(図18).このような場合,角化歯肉の不足がよくみられるものである.マイクロスコープを用いて周囲に結合組織を移植し(図19),アバットメントを清掃して表面の傷や凹凸をなくしてやると,図20に示したように短期間で良好な結果が得られる.
G装着された修復物の適合が悪かったり,二次カリエスによって,歯肉の退縮やブラックマージンが出現する(図21).
何らかの理由で除去できない場合は,補綴物を傷つけないようにマイクロスコープを用いて,プラーク,歯石,軟化牙質等を慎重に除去し(図22,
23),コンポジットレジンにて修復する(図24,
25).
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マイクロスコープを使っての歯科診療時のアシスタントワーク
マイクロスコープを使っての歯科治療にはアシスントワークが必要である.エンドでは,作業部位が限局されるので,アシスタントスコープの使用が推奨されている.そして術者とアシスタントの間に,ハンドサインによる取り決めが確立されている必要がある.しかし,治療が多数歯に及ぶ補綴では,たとえマイクロスコープ用ミラーテクニックを駆使しても,マイクロスコープを動かす必要がある.マイクロスコープにCCDカメラを装着し,大型モニターに画像を映し出すと,アシスタントは,片方の眼で術者と同じ視野を確保すると同時に,もう片方の裸眼の視野で患者の状態を把握できる(図26).CCDカメラを接続すると,診療の記録,患者への説明にも便利である.
まとめ
マイクロスコープを使った歯科治療にはいろいろな可能性が秘められている.歯間乳頭を再生したり,装着済み修復物を審美歯周補綴的に再製することもできる.しかし,他の技術の獲得と同じく,最低限のトレーニングを必要とする.国産を含め十数社から50機種以上のマイクロスコープが販売されている.それぞれに長所と短所があるが,安価なものではないので,購入する前に,マイクロスコープを最初はどの歯科治療に活用するかを決める必要がある.本稿で示した文献がその一助となったら幸いである.
謝辞
執筆するにあたり,ご協力いただいた潟Iリンパス光学,潟Jール・ツアイス,鰹シ風,鞄結梹附゙社,潟宴Cカに感謝の意を表します.
参考文献
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6.鴨井久一,仲谷寛,平田哲也:歯周外科・マイクロサージェリーの考え方とその実際.Dental Diamond 23(7):141−145,1998.
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